労働問題と法律で思う事 パワハラを受けてしまったら
自分がミスをしたことによる一度だけの厳しい叱責の中に人格を否定されるような言葉があっても、それがその時だけで終わるものであれば、それをすぐに「パワハラだ!!」とする人は少ないかもしれません。
しかし、それが2回、3回と続き、挙句の果てに何も落ち度がないのに、人格を否定されるようになったり自分だけ明らかに過剰な業務を振られるようになったら、それはパワハラに違いありません。
では「私、パワハラを受けている!」と気付いたら、一体どのようにすれば良いのでしょうか?
パワハラの証拠を集められるだけ集める
パワハラを受けていると気づいたら、遡れる分も含め、パワハラの証拠を集めらるだけ集めましょう。
酷い言葉や暴力があれば、その事案が発生した日時をできるだけ明確にメモしておくのはとても重要です。
酷い言葉が日常的にあるのであれば、最近はスマホが高性能になっているので、スマホで録音データを残しましょう。
スマホでなくても、目立たないボイスレコーダーを使うのは良い方法と言えます。
ただ、無視や仲間外しといった嫌がらせは証拠を残しづらいので、そのことがあった日時をしっかりと記録しておくことが大切です。
こうした証拠は、パワハラによって不安障害になった時や心療内科に通院した時に病気の原因を特定させる資料として役立つだけでなく、第三者機関にパワハラ事案を相談する際にもとても重要な資料となります。
パワハラを受けているとどんどん暗い気持ちになって、しかもそれが職場で起こっていることであると、同僚も自分がとばっちりを食らうのも怖くて手助けしてくれず…どこに相談をするべきか悩んでいる人はたくさんいます。
会社でパワハラを受けた時はどこに相談をすれば良いのでしょうか?
パワハラの相談先
パワハラを受けた時、すぐに社内の相談窓口に相談することが躊躇われる時は、まず第三者、公共の相談窓口に話だけでも聞いてもらうことが良いかもしれません。
社内の相談窓口に相談して、万が一そのことが加害者である上司などに伝わるのを恐れているなら、尚のこと、第三者機関に相談することがおすすめです。
ここでは、厚生労働省が紹介しているパワハラに関する相談窓口をご紹介します。
総合労働相談コーナー
職場でのトラブルの相談を総合的に行っている機関です。また都道府県労働局では、個別の労働紛争に関して、各都道府県労働局長による助言や指導が行われたり、紛争調整委員会による斡旋も行われています。
弁護士事務所
労働問題は社労士などがいる弁護士事務所などもおすすめです。弁護士事務所によっては無料相談を実施しているところもあるので見てみると良いのではないかと思います。
都道府県労働委員会
個別労働紛争の斡旋を行っています。他にも個別労働紛争の斡旋は、都道府県庁労政主管課もありますよ。
法テラス
トラブルの内容に合わせて、解決に役立つ法制度や地方公共団体、他にも弁護士会や司法書士会を無料で案内してくれます。内容によっては法テラスでの相談で解決の糸口を見つけることもできますよ。
みんなの人権110番
現代社会の様々な人権問題について相談を受けている相談電話です。電話をかけると、最寄りの法務局や地方法務局につながる仕組みになっています。
かいけつサポート
法務大臣の認証を受け、労働関係の紛争についての解決を手助けしている民間事業者を紹介してくれます。この民間事業者は当事者と利害関係をもたない公正中立な第三者が、当事者同士の間に入り話し合いによって柔軟な解決策を見つけてくれるサービスです。
いかがでしょうか?自分が働いている会社の他にも、こうした機関が労働者のトラブルをサポートをしてくれているとわかっただけでも心強いですよね。
社内でパワハラの相談をするならどうするの?
先述では、社外での相談窓口をご紹介しましたが、やはり社内の問題なので、いつかは社内でも相談をしなければ…と考えているなら会社内に設置されている相談窓口を探すのが大切です。
この窓口は会社によって組織体系も名前も違うので、「これです!」と言い切ることはできませんが、多くの会社では「パワハラ・セクハラ110番」とか、「コンプライアンス相談室」といった名前で窓口を設けているようです。
やや大きな企業であれば、法を扱う課があるはずですし、人事部にそうしたトラブルを扱う委員会があるところも多いようですよ。
ただ、社内の相談窓口は、大手の企業であっても正常に機能していない企業も見受けられるので(相談が加害者に筒抜けになるなど)、社内の窓口に相談をする際には、その前に信頼のおける他の上司に一度相談をしてみるなどした方が無難です。
相談は多くの場所で行っている方が良い
心療内科や精神科でパワハラからくる不安障害を診察してもらうだけではなくパワハラに関する相談は法テラスや地方の労基局、パワハラに関する対応を行っているNPO団体や弁護士事務所など、できるだけ無料か安い値段で相談を受けてくれる機関に多く相談をすることをおすすめします。
これは、「私はパワハラで悩んでいた」という事実を第三者とつながることでたくさん証拠を残すことになります。
つまり、パワハラ問題について、社会的にマーキングをしていることと同じわけです。
色々と証拠固めをしたら、社内の相談窓口に一度相談するのも良いかもしれませんがはっきり言って社内の相談窓口が適正に機能していない会社は多くあります。
ですので、パワハラとセクハラに関しては、実は第三者機関と提携して会社に意見をしてもらうのが一番効果的と言えます。